合格率100%達成 (2024年度受講生)
2025年11月23日、奈良県桜井市・等彌神社にて、日本文化普及協会による「十二単の公開着装」を行いました。今回は、母娘のお二人にご協力いただき、平安の装いがゆっくりと立ち上がっていく時間を、参拝された皆さまと分かち合うことができました。
ここでは、その一日の様子と、私たちがこの公開着装に込めた思いをお伝えいたします。
十二単は、ただ "着るための衣装" ではなく、日本の美意識や所作、色の響きを重ねてきた時間そのものです。
その美しさを、写真や映像ではなく、目の前で息づく姿として感じていただきたい——その思いから、本年も公開着装を行いました。
そして今回、母娘でお越しくださったお二人が並んだ瞬間、会場には自然とやわらかな空気が広がりました。
装束の色、絹の重なり、立ち姿の静けさ……。
そのどれもが、平安の女性たちが大切にしてきた「たおやかさ」をそのまま映し出しているようでした。
お母さまには落ち着きある色目の小袿(こうちぎ)を、娘さまには若やいだ色合わせの十二単をお召しいただきました。
お母さまの小袿は、平安時代の女性が日常的に着用した装束で、優雅でありながらも動きやすさを兼ね備えた装いです。一方、娘さまの十二単は、五衣、打衣、単衣、表着、唐衣、裳と、絹の衣を一枚ずつ丁寧に重ねていく正式な宮廷装束。その重ねの一枚一枚に、空気がふわりと雅に染まっていきます。
源氏物語の絵巻から抜け出したような場面が、神社の空気に静かに溶け込む——そんな瞬間が何度もありました。
十二単は、平安時代の宮廷女性がまとった装束で、襲の色目(重ね色)には季節の移ろいや立場、年齢の意味が込められています。
その装束を ただ着せるのではなく、作法や衣裳の伝統、形の"美しさ"を守りながら着装していく技 が「衣紋道」です。
一式をまとった状態では、重さが20kgほどになることもあると言われています。
静かに立つだけで絵になる——その理由には、こうした長い歴史と積み重ねが息づいています。
「一度着てみたい」「和の文化に触れてみたい」
そんな小さな興味でも、どうぞ気兼ねなくお声がけくださいませ。
十二単の着装体験、見学のご案内、衣紋道の解説など、ご希望に合わせて丁寧にご案内いたします。
結婚式・和装撮影・節目の記念など、人生の大切な場面を彩るお手伝いも可能です。
日本文化普及協会では平安装束の着装のご依頼も承っております。婚礼などで本物の十二単を着たい方はお気軽にお問い合わせくださいませ。また衣紋道高倉流のお稽古にご興味をお持ちの方は一度見学にお越し下さいね。格式は大切にしておりますがお稽古は、和気あいあいと和やかにやっております。